ギョーム・アンリ(Guillaume Henry)の後任として、新クリエイティブ・ディレクターに大抜擢されたメンズブランド「ボッター(BOTTER)」のルシェミー・ボッター(Rushemy Botter)とリジー・ヘレブラー(Lisi Herrebrugh)による新生「ニナ リッチ(NINA RICCI)」がフレッシュなスタートを切った。
出発点はブランドの1950〜60年代のアーカイブである海辺で帽子をかぶった水着姿の女性のビジュアルだ。そこにオランダのキュラソー島出身のボッターとドミニカ共和国の島で育ったヘレブラーの2人のルーツにあるカリブ海の要素、「ボッター」のメンズウエアを融合させて、リゾートのリラックス感を持つ洗練された新たな女性像を模索した。
ショー開始とともに流れたのはヘレブラーの出身地であるドミニカ共和国のビーチの波の音。ファーストルックは大きなバケットハットに合わせたややオーバーサイズなピンストライプのパンツスーツ。身頃にネイビーの水着のシルエットを切り替えで差し入れて、斬新でヘルシーな印象だ。ボックスシルエットのシルクシャツ、ドローストリングス付きのジャケットやロングショール付きのコートなどはベーシックアイテムに程よい捻りを加えて、プレイフルかつリアルに仕上げている。
またベーシックカラーに合わせた鮮やかな色使いも絶妙だ。ネイビー、ベージュ、白をベースにしながらも、カナリヤイエロー、パラキートグリーン、スカイブルー、シャーベットカラーなど差し色を入れることでモダンな雰囲気に仕上げている。ビビッドなカラーのネオプレンとミラノリブニットを用いたウエットスーツ風のボディースーツやネックピースはキャッチーだ。
ボッターはバックステージで「『ニナ リッチ』の新しい一章は、ブランドアーカイブと僕らのルーツを合わせることから始めたが、 “『ボッター』のウィメンズ”にはならないように意識した。このコレクションは『ボッター』と『ニナ リッチ』の間にできた子どもようなイメージだ。『ボッター』でも作っているスーツは女性らしさと強さも共存させ、エレガントでナチュラルに表現している」と話す。
「ボッター」で取り組むアップサイクルについてヘレブラーは「『ニナ リッチ』でも挑戦したい。今回のコレクションでは取り組めていないが、リサーチを進めているところ。やるからには研究を重ねて、『ニナ リッチ』でできるエコフレンドリーなファッションを提案したい」という。