ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)の160余年におよぶ歴史をたどる展覧会「SEE LV」展が、2022年7月8日(金)から8月21日(日)まで、東京ミッドタウン 芝生広場にて開催される。
アーカイブから最新コレクションまで紹介
「SEE LV」展は、ルイ・ヴィトンのヘリテージ・コレクションから選りすぐりのアーカイヴと最新のクリエーションを組み合わせて紹介するエキシビションだ。これまでのコレクションで披露されたルックの数々や、20世紀初頭のトランク、バッグをはじめとするレザーグッズ、アーティストとのコラボレーションなどを展示するとともに、デジタル映像による展示も行う。
会場は、5つの章──本展では「世界」と呼ばれる──から構成。1854年のルイ・ヴィトン創業当時の様子を映像で紹介する第1の世界、最近のコレクションの代表的なルックを展示する第2の世界、アイコンバッグの展開をたどる第3の世界、移動手段の発展とともに合わせて歩んできたメゾンのアイテムに着目する第4の世界、そしてアイコニックなモノグラムの再解釈を映像でたどる第5の世界から、ルイ・ヴィトンの世界観を浮かびあがらせる。
近年の代表的なコレクションルックを紹介
ここでは5つの世界から、とくに実物を目にすることができる3つの世界を取り上げて紹介しよう。ルイ・ヴィトンのファッションに光をあてる第2の世界は、ヴァージル・アブローとニコラ・ジェスキエールが手がけた最近のルックを中心に展示するものだ。
ヴァージル・アブローがルイ・ヴィトンのメンズ アーティスティック・ディレクターに着任して最初に手がけた2019年春夏からは、カーフレザーにメタリック加工を施し、オーバーサイズで仕上げたレインポンチョなどを展示。また、スーツの変遷に着目した2020年秋冬からは、雲を大胆にプリントすることでクラシックなテーラリングに遊び心を持たせたルックを紹介している。
一方で、ニコラ・ジェスキエール。2018年春夏、18世紀フランスの貴族が身につけていたスーツ、アビ・ア・ラ・フランセーズをメタリックかつスポーティに再解釈したテールコート、あるいは2022年春夏、メゾン創業当時の流行であるクリノリンを軽やかに変奏したパニエドレスなど、服飾の歴史と伝統と対峙し、それを現代の衣服に仕上げる例を見ることができるだろう。実際に会場では、メゾン創業間もない1855年ごろに製作された、大きくスカートが膨らむクリノリンドレスも展示している。
また、キム・ジョーンズがルイ・ヴィトンで手がけた最後のコレクションとなった2018年秋冬のパテント・モノグラム キャンバスのジャケットやパンツ、15年にわたりウィメンズ・プレタポルテを牽引したマーク・ジェイコブスのメゾンにおける最後のコレクション、2014年春夏の華やかな刺繍を施したジャケットなどを展示する。
アイコンバッグの展開
続く第3の世界では、過去のバッグから近年のコラボレーションまで、ルイ・ヴィトンのアイコンバッグを紹介。たとえば1900年頃、トランクの中にたたんで収納できるバッグとして誕生したコットン・キャンバスの「スティーマー・バッグ」が、ニコラ・ジェスキエールにより再解釈され、またヴァージル・アブローによってチェーンと安全ピンのアレンジを施されるなど、その原点と展開を見比べることができる。
「カプシーヌ」も、上品なトリヨンレザー製はもちろん、トロンプ・ルイユ風の技法と、雑誌の切り抜きのように斬新な素材の活用を特徴とするアーティスト、ヴィック・ムニーズとのコラボレーションバッグも展示するなど、人気バッグの多彩な展開にもふれることができるだろう。
旅と、生活と
第4の世界で着目するのは、ルイ・ヴィトンが交通手段の発展とともにその歴史を紡いできた点だ。それは、旅行かばんのアトリエとして創業したこのメゾンの原点に呼応するものだといえる。以来、バッグはもちろん、ライフスタイルの移り変わりとを映しだすウェアも含め、メゾンのアイテムは旅と生活とともに歩んできたといえる。
バッグでは、たとえば先に紹介した「スティーマー・バッグ」は、当時の船旅の習慣を反映するものであり、洗濯物を清潔な衣服と分けて収納するバッグを求める需要を反映したものだった。1910年頃の「ネヴァーフル」は、鉄道の旅においてトランクと一緒に使用されたしなやかなレザーバッグだ。
一方、1923年の「エクセルスキー・カー・トランク」は、自転車のラゲージラックに装着し、乗客のバッグをラゲージを収納するために製作された堅牢なもの。さらに1941年の「アヴィエット・トランク」は、空の旅に特化してデザインされており、スーツやコート、シャツ、シューズなどを収納できる、大きな容量を有するものであった。このように、移動手段の移り変わりとともに、バッグの形や機能も多彩に変化してきたことが見てとれる。
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